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やっぱり単なる日記

日常のあれこれと登山や旅行の記録。

遭難一歩手前だった東沢渓谷遡行・甲武信ヶ岳

本日『生還―山岳遭難からの救出』山と渓谷社 羽根田治を読了した。

そして、自身の遭難一歩手前の経験を思い出した。

それは、2001年9月のことだった。大学のゼミの教授とOBとともに山梨県の東沢渓谷を遡行し、
甲武信ヶ岳へ向かった時のことである…。

2001年9月14日
教授の車で中央道八王子ICから勝沼ICを経て、雁坂トンネル近くの西沢渓谷入口着。
行きの車内のラジオでは、3日前のニューヨーク世界貿易センタービルへのテロ攻撃、
すなわち「9・11」で世界貿易センタービルがチューブ構造だとかで、何故ああも簡単に崩壊したのかを
議論していたのを鮮明に覚えている。

西沢渓谷に車を止める。丁度夏山の時期と秋の紅葉の時期の境で人影はまばらであった。
西沢渓谷入口は東沢渓谷の入口でもあるのだが、東沢渓谷は一般登山者の入山者は制限されている。
それは東沢渓谷は、沢登の経験のない人間には大変危険だからである。

実はこのとき、沢登の経験があるのはOBの1人だけであった。
教授も僕も沢登は初めてである。しかもザイル・ヘルメットの装備もOBのみ。
しかもこの東沢渓谷の山行自体も2・3日前に急遽決定されたものであり、大学の休暇中だったので
いきなり電話がかかってきたものであった。


9:30頃西沢渓谷登山道から東沢渓谷の方へロープをくぐりぬける。
こんな美しい渓谷を見たのは初めてだ。


沢の中をズボンのまま入る。川で遊んだ経験もそんなにので新鮮な体験。
ズボンのまま川に入ることで、何か特別な経験をしているようでうれしくなる。


登山者にひとりもすれ違わず、周りには切り立った岩が立ち並んでいて
なんだか「大自然の殿堂」の中を歩いているような気分であった。


(左)ほらの貝ゴルジュ。このあたりで昼食をとった。(右)後から知ったのだが「一枚岩千畳」というらしい。

斜めになりながら「一枚岩千畳」ここを歩いて行く。
この遡行のために急遽足袋とワラジを調達したのだが、早くもワラジは擦り切れてしまう。
ワラジの予備をもってきておいて正解であった。
この「一枚岩千畳」の終わりのところは流れの急な沢を飛び越えなくてはならず沢登りに慣れているはずのOBは
飛び越えるのに失敗し、沢に流された。すぐに沢から上がれたからよかったものの、台風が通過した後でもあり
水量は多かった。
台風通過後も秋雨前線が停滞し、この日を含め天気は安定していなかった。


この滑滝の中を歩く。濡れながら歩き続け、このあたりで本来なら1泊するべきだったのだろう。
しかし、急遽決定した安易な計画だったため、1日目で甲武信小屋まで到着する予定であり、だれもテントどころか、
ツェルトすら持っていなかったのである。


(左)魚止滝。(右)両門の滝。なんとか東沢渓谷の上端まで着いたのだ。しかしここでもう夕暮れであった。

だいたい18時前後だろうか。
この先は両門の滝を巻いて甲武信ヶ岳山頂へ登っていくのだが、高巻きしすぎたようだ。
地図を見るとそのまんまの名称「迷い沢」があるのだが、そこに迷い込んだらしい。
ここで登山道が発見できず、3時間にわたる「遭難」が始まる。

道なき道を行き、背丈を越えるシャクナゲをかきわけかきわけ進む。
教授もOBも山に慣れた人だから尾根に出ればいいということは分かっていたわけで高い方高い方へと向かった。
しかしよくこれで木賊山にたどり着いたものだと思う。
途中から雨は降り出し、教授などはツェルトもないのにここで寝ようとか言い出す始末であった。

今思えば、やはりこのような状況下で思考力が低下していたとしか思えない。
9月とはいえ、いや9月だからこそ沢登とその後の雨で全身濡れて体温は奪われていた。
9月の山であっても疲労凍死だってありえただろう。濡れていたのに、乾いた着替えも持っていたのに
途中で着替えることはなかった。

僕自身の気持ちとしては、温かい山小屋に着いてから乾いた着替えに着替えたかったのだ。
しかし、体温の低下を防ぐにはすぐにも着替えるべきだったのだろう。
遭難者があとから調べてみると乾いた服をザックの中にもっていたという話を聞いたことがあるが、
その気持ちがよく分かった。

21時位に木賊山を経て甲武信小屋になんとか到着。山小屋の人は遭難一歩手前だと驚いたことだろう。

2001年9月15日

翌日は、三宝山と甲武信ヶ岳へ。本来の目的である自然観察をしながら、1日かけて笹平避難小屋まで行く。


コメツガの森。シラビソやコメツガが生い茂るしっとりとした森である。

このときまでに、富士山・妙高山・仙丈ヶ岳に登ったことがあったが一番落ち着く山であった。
この時卒論は亜高山針葉樹林を対象にしようと思ったのである。

2001年9月16日

(右)笹平避難小屋にて、豪雨の夜を過ごし、朝外に出るとそこには富士山。(右)破風山から振り返るとあの木賊山と甲武信ヶ岳。


ヌク沢あたりを遠望。深い森。奥秩父山地だなぁと思う風景。
その後雁坂峠を経て西沢渓谷へ。

奥秩父山地は、山の怖さと美しさを感じさせてくれた山塊である。
でもこの山行でもし本当に遭難していたとしたら、その計画と装備について相当非難されていたに違いない。
そしてもしかしたら東沢渓谷への登山について行政などの指導が厳しくなり、
東沢渓谷を愛する人々に相当迷惑をかけることになっただろう。
目的が自然観察であったとはいえ安易な登山をするべきではないし、最低限の登山装備は必要であると深く肝に銘じた。

P.S.東沢渓谷・西沢渓谷を知ってしまうと、宮崎の高千穂渓谷なんて渓谷じゃないよ…。


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  1. 2008/02/12(火) 18:14:58|
  2. 登山・トレッキング
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